備忘録録

物忘れが酷い

【記事感想】エンジニアが作るネットサービスのアイデアがしょぼいワケ

このブログは主に読書のような忘れたくないことを記録していく場にしようと思って始めたのですが、ネット上の記事などでも書き留めておきたいものと出会うことがあるので、書き留めておこうと思います。

エンジニアが作るネットサービスのアイデアがしょぼいワケ【えふしん】

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筆者の気付き

筆者であるえふしんさんはエンジニアでありながら起業家である。

この記事は大学院へ在学中に書かれたものであるようで、冒頭から具体例が示されている。

今通っている大学院の授業で、漫画家の浦沢直樹さんをゲストに迎えた授業があった。内容は漫画のイノベーションの歴史だったのだが、学生の質問に対する浦沢さんの回答で、こんな話が出てきた。

・ プロデューサーとしての自分と、絵を描く自分は切り分けている。
・ 自分ともう1人が遊離した状態で見ている。
・ 自分が考えている時に、自分がやろうとすることにリミットをかけないことが大事。

スケールは違えど、私もエンジニアという肩書でありながら大学院でビジネスを学び、ビジネスエンジニアを目指す身としてはシンパシーを感じる。

「エンジニアであること」が自由なアイデアを阻害する理由

通常のプロジェクトにおいて、エンジニアの役割は「アイデアを形にする人」である。最終的に、実現性に落とさなくてはいけない責任を担う。

だから通常、「不可能なアイデアを削っていく」のがエンジニアの仕事だ。

それは職業エンジニアとして悪いことではないと思うのだが、このような仕事をしてきたエンジニアが新しいネットサービスを考えたりする時の最大の問題点は、アイデアを考える時、例えば仕様の話を人から聞きながら、マルチタスクで「それって実現できるかな!?」ということを現実的な発想で考えてしまう癖があることである。

壮大なアイデアを思い付く横で、それが実現できないと思ってしまう自分がその段階で心にブレーキをかける。

結果、その繰り返しになってしまって、大きなアイデアが見つからない。

そう、エンジニアはアイデアを形にするのが仕事なのであり、現実と向き合う役割を担う。

エンジニアはクリエイターでありながらある意味において非クリエイティブな仕事とも言える。

ビジネスエンジニアを意識し始めてから、このジレンマはずっとひっかかっていた。

一方で、アメリカではエンジニアのアイデアによって様々なイノベーションが起こっているのも事実である。

エンジニアだから良いアイデアが出せないという訳ではないはずだ。

ユーザーベースでサービスを考える天才クリエイターたち

僕は以前、無茶で偉大な、世の中からは天才と言われるクリエイターと一緒に仕事をしていたので、肌感覚でよく分かるのだが、彼らは技術的制約で物事を考えない。

もしかしたら、あなたたちが無知で無茶だと思う、上司やお客さんも同じタイプなのかもしれない。

世の中を観察し、世の中の人たちにこういうのがあれば受け入れられるのではないか、というベースで物事を考える。また、実現性に落とす場合にも、デバイスやゲーム機などを眺めて、「これをこのように使ったら面白いのではないか?」と、エンジニアにはまったく思い付かない無茶なことを思いつく。

もちろん、それを実装に落とした結果、良いものができなければ負けるのは同じだ。ただし、このアプローチの場合は、アイデアに対して、エンジニアリングが負ける瞬間だったりもする。

イデアを考える時、エンジニアであるという前提を捨ててユーザー目線で考えるべきであると私も考えている。

例えば、デザイン思考なんかはそういった考え方だろう。と思ってたら、案の定記事中でデザイン思考についても触れられている。

また「アイデアに対して、エンジニアリングが負ける瞬間」という表現が刺激的だ。

イデアが良くても、エンジニアリングの質によっては製品は最高にも最低にもなる。

確かに!反省。

作品の根幹となる「大きいムード」を考える

今日、授業でお聞きした浦沢直樹先生は、こうおっしゃっていた。

「作品を作る時は『大きいムード』を考える」

これは、つまり「世界観」のことだと思う。また、作品に対して「哲学」を持つということだし、もしかしたら、すでに「コンセプト」と言えるのかもしれない。このような世界を見つけいくためには、日常のあらゆることに関心を持ち、考え続けるのだと言う。

『ボケて』を作ったゆーすけべー先生も、著書『Webサービスの作り方』に、

「哲学から考える」

と書いてある。

本書では、哲学のことを「個々人が持っている、特定の興味に対する揺るがない気持ちのこと」と定義している。彼は、僕と同じくデザイン思考を学んでいる人なので、僕が示していることと同じ考えだと思うのだが、いきなり技術から入らずに、一番大切なことを考える。次にアイデアを考えてから、技術を使って実現性を担保する設計フェーズに進む。この順番を間違えると、アイデアが小さくなってしまう。

「哲学」という言葉を見た時、PhD=哲学博士が思い出された。

サービスを考える時、ついついアイデア=ディテールを考えてしまいがち。

イデアに囚われれば、ひとつのアイデア固執してしまう。

哲学からから考えれば、アイデアをもっと出せる。

経営における企業理念の重要性のそれとも似ている。