【書評】「自分を操る超集中力」ウィルパワーを節約して、重要なことに集中する。
自分を操る超集中力 メンタリストDaiGo
私は集中力が無いという自覚があります。
勉強しようとしても、スマホをいじってなかなか始められない。
やるべきことが目の前にあっても、「まだ余裕がある」と思ってなかなか始められない。
手を付け始めても、すぐに休憩をしてしまう。
しかし集中力がないのには何か理由があるはずだ、集中力を高める方法があるはずだと思って諦めていません。35歳になっても(笑)
で先日、そんな私の心の隙間にすぽっと収まる本に出会いました。
マジシャンのようなちょっと怪しい雰囲気漂うメンタリストDaiGoですが、慶応大学出身のインテリ、ただのボンクラではなくしっかりとした努力家であるという認識をしていたため、変な先入観無く読んでみました。
集中力を自在に操る3つのルール
集中力の鍛え方
- 前頭葉が思考をコントロールすることによって人は集中する
- 思考をコントロールするための体力をウィルパワーと言う
- ウィルパワーは思考をコントロールするたびに消耗する
- 仕事も遊びも全く関係のない行動も、ウィルパワーを消耗する
- 集中力を鍛えるには、ウィルパワーを増やすか、ウィルパワーの消費量を節約するか
- 無意識に行っている行動にハッと気づき改める行動を繰り返すと、ウィルパワーが鍛えられる
- 生活のあらゆる決断・意思決定はウィルパワーを消耗している
- 選択が多いほどウィルパワーを消耗する。例えばレストランのメニューなど。これが「決定疲れ」
- 生活の中で決定疲れを減らすためには、あらゆる行動・決断を習慣化してしまえば良い
- 習慣化した行動は前頭葉を使わずに小脳を使うようになるので、ウィルパワーを消耗しない。例えば自転車の乗り方など
- 節約したウィルパワーを仕事や勉強にまわすべきだ
DaiGoの主張は既に発表されている科学者の研究や論文から引用されており、独自の理論を展開しているわけではありません。
ウィルパワーっていう考え方は非常に納得させられました。
超時間集中しない
時間を短く区切って焦らし効果を活用
- 人間の脳は本能的に集中を持続しない
- 集中可能な時間は普通の人で30分
- 集中しているように見える人は、実は短時間の集中状態を繰り返しているだけ
- 30分または15分ごとに休憩することでパフォーマンスは向上する
- 休憩中も脳はやりかけのタスクを考えてくれている
自然界は危険がいっぱいです。
そもそも人間は本能的に集中しない動物だというのです。納得。
しかし集中力が高いように見える人がいるのは、彼らは短時間の集中を繰り返しているだけだというのです!!なるほどー!
作業時間を短くするほど早く終る
- 仕事が割り当てられた時間に応じて複雑なものへの膨れ上がっていくことを「パーキンソンの法則」と言う
- 「時間が十分にある」と勘違いすると、試行錯誤しすぎることで選択肢と決断機会が増加する
- デッドラインを決めることで選択肢が減り、ウィルパワーを節約して集中することができる
「今日は一日でこれとこれとこれをやる」という日に、たいてい全て終わりません。
これは十分時間があると思うと、試行錯誤し、結果集中時間の少ない一日を送ってしまうため。
集中して作業を終わらせるためには、「足りないかな?」というくらいでデットラインを決めてしまうことで、必要以上に試行錯誤することを抑え、結果集中して作業を終えられると。
ノートを開くだけで集中可能時間は奪われる
- ノートを開くという決断だけでもウィルパワーを消耗する
- 環境を強制力として活用する
- DaiGoの仕事部屋はノートが開きっぱなし
- 「よし、やるか」のワンステップすら集中時間を奪う
これも非常に納得させられました。
「よし、やるか」と席につく・パソコンを立ち上げる・ノートを開くなどした直後に別のことをやり始めてしまうことが多々あります。。(汗)
「よし、やるか」を必要とせず、席に座った瞬間から作業をするしかない・始めてしまう環境を作ることが重要です。
疲れを脳でコントロールする
- 疲れたからやる気が出ないというのは思い込み
- 思い込みで行動が変わることをプライミング効果と言う
- 自分がどんな環境で何分集中できたか記録していくことで、自分に「その環境では集中できる」という暗示をかけることができる
- 「疲れたと言うな」は実は理にかなっている
集中した(しようとした)環境と時間を記録することで、自分に暗示をかけるというやり方は驚きです。
しかしある時期、同じ環境なら集中が続くような期間ってある気がします。
「疲れたー」はよく言ってしまうので、言わないようにしないとw
集中力を生み出す7つのエンジン
場所
目的に応じた、自分だけの集中ルームを用意することを意識すると良い。
姿勢
まずは15分に1回立ち上がることから。
食事
- 脳は血糖値の下降時に集中力が途切れる
- 低GI食品は血糖値の変化をおだやかにする
- 低GI食品を食べてから2時間後に集中力のピークがくる
- 低GI食品を食べてから3時間後に血糖値が低下し始める
- 血糖値が低下する30分前にナッツ類を食べることで集中力を回復させられる
- コーヒーは認知能力の低下を防ぐ効果がある
- コーヒーは1日450mlまでが適量
- カフェインが効果を発揮するのは飲んでから2、30分後
- カフェインの効果は90分から150分で切れる
- DaiGoはヨーグルトを食べてからコーヒーを飲んでから10分ほどパワーナップをしている
- 脳には水分補給が重要
- 水を飲まないと集中力と記憶力が低下する
- 体から2%の水分が減少すると、一気に集中力が低下する
- 1、2時間に1杯の水分補給が目安
低GI + ナッツ で集中力を持続できる食生活を。
感情
- 時間を忘れるほど集中した状態をフロー体験という
- フロー体験をするためには「ちょうどいい難易度」「自分のリズムで取り組める」「喜怒哀楽を呼び起こす」「行動が中断される恐れがない」の4つの条件を満たす必要がある
- 怒りの感情は目標達成の原動力となる
- 哀しい時は冷静な判断ができる
- 喜びは創造性を高める
- 喜怒哀楽が生まれるイベントをスケジュールに組み込むことを「エモーショナル・プランニング」という
- ラッシュ通勤後に難易度の高い仕事をする、美味しいランチを食べた後にクリエイティブな仕事をする、泣ける映画を見た後に1日の振り返りをするなど
感情も集中力や成果物に繋げることができる。
習慣
- ウィルパワーの節約には、習慣化によって判断機会を減らすのが最も効果的
- 例えば野球の投手は練習による習慣化により、投げる時に前頭葉を使わずに小脳を使っている
- 日々の生活で選択が少なければ少ないほど、集中したい場面で集中力が高まる
- スティーブ・ジョブズが服装の選択を排除したのは、仕事に集中する上で非常に合理的
- 雑事は仕組み化して即座に意思決定してしまう事が重要
- 勉強をするときに片付けを始めてしまうのは「セルフ・ハンディキャッピング」と呼ばれ、無意識に言い訳を作ろうとする心理
- 「とりあえずボックス」を用意して、片付けそうになったら問答無用で放り込むのがオススメ
- 集中したい時、目的と関係しないモノ・気を散らすモノは視界に入らない場所に置くこと
- あらゆるモノをレンタルで済ませることも有効。商品選びのコストを削減できる
- 本以外の書類はスキャンして捨てる。書類は目に入るだけで集中力を奪う
面倒なことは仕組み化してしまうことで、集中力を温存しよう。
運動
運動には脳のリセット効果があるとのこと。
瞑想
瞑想を習慣化することで集中力は鍛えることができる。
疲れをリセットする3つの回復法
- 脳は疲れを知らない。「脳が疲れた」は思い込み
- 「体の疲れ」「心の疲れ」「神経の疲れ」は集中力の低下とは関係ない
- 重要なのは思い込みによるブレーキを掛けないことと、ウィルパワーをしっかり回復させること
睡眠
- 6時間未満の睡眠不足は集中力を奪う
- 人は記憶したことの7割以上を1日で忘れる
- 脳は寝ている時に回復し、記憶を定着させる
- 東大に合格した受験生は平均7時間の睡眠を取っている
- 脳は日中は記憶すべき情報とそうでない情報を取捨選択している
- 寝る前に覚えた情報のほうが記憶に残りやすい
- 8割の人はミドルスリーパー。7時間の睡眠が必要
- ミドルスリーパーは別名バリアブルスリーパーとも言い、6時間程度まで睡眠を圧縮することもできる
- 夜22時から2時までが成長ホルモンが盛んに分泌されるゴールデンタイム
- ゴールデンタイムの睡眠がウィルパワーをよく回復させる
- 夜よく眠るためにはセロトニンを貯めることが重要
- セロトニンを作るには午前10時までに20分ほど陽の光を浴びること
- 寝る2時間前からスマホなどのブルーライトは浴びない
- 寝る1時間前に入浴すると、体温が下がるタイミングで自然と眠くなる
- 陽の光で起きたほうがスッキリと目覚められる。光目覚ましなどを活用
- 15分のパワーナップは3時間の睡眠並にウィルパワーを回復できる
感覚から癒やす
不安を書き出す
集中力を自動でつくり出す5つの時間術
- ビジネス界には「重要な仕事は、忙しい人に頼め」という格言がある
- 忙しい人ほど複数の案件を同時処理する能力に長けている
- 忙しいからこそ処理能力が向上し、さらに仕事が集まる好サイクルになる
- 重要な仕事が集まる人は、時間の使い方がうまい
- 時間がないのにやらなければならないという状況に自分を追い込むことで高い集中力を作り出している
- 集中力を自動的に作り出す時間術は、訓練によって身につけられる
超早起き
- 世界の著名な経営者は皆超早起き。朝5時には起床する
- 脳は朝起きてから2時間の間が最もクリエイティブな力を発揮する
- 世の多くの人は、2度寝やラッシュ通勤でこの時間をフイにしている
- 出社して業務を始める頃にはウィルパワーを失ってしまっている
- このゴールデンタイムのうち最も重要なのは朝食後の30分
- 人生を変えたいのであればこの30分を有効に活用すべき
- 朝食後30分高く集中すれば、その状態は4時間持続する
- 社会的な成功者は高い集中力を必要とするからこそ、十分な睡眠時間を確保している
- 午前10時は認知能力が高く集中しやすい
さらに、Daigoは朝行うべき7つの行動を紹介しています。
- 早起きして朝食を食べる
- グリーンエクササイズで、朝日を浴びながら汗を流す
- モチベーションの上がる言葉や話題に触れる
- ノートやPCに日常の幸せへの感謝を書き留める
- 「今日が人生最後の日ならどうする」と自分に問いかける
- その日の計画を10分位内に立てる
- 瞑想をする
なるほどなーと思ったのは、デスクワーク中心の私達は、何をしたのかよくわからないまま1日を終えやすいということ。
朝10分かけて予定を決めることで、迷いなく作業に取り組め、結果的に残業を減らせるとのこと。
また体内時計「サーカディアンリズム」を意識して、Daigoは以下のようにしているとのことです。
- 朝はインプットの時間。本を読み、アイデアを書き出す。
- 昼はアウトプットの時間。学んだことを話したり説明する。
- 夜は復習の時間。朝学んだことを読み返す。
ポモドーロ・テクニック
ウルトラディアンリズム
- 精神生理学者のペレツ・ラヴィー博士が考案したのがウルトラディアンリズム
- 90分集中して、20分休む
- 90分で取り組むタスクは1つに絞る
- 自分が何時から何時まで集中できていたか、毎日記録していく
- 1日に3~4時間集中できていればかなり優秀
- 20分でいかに休むかも重要
- 休憩には瞑想やパワーナップ、アクティブレストが良いとされる
- アクティブレストは軽い運動により脳が刺激を受けることでウィルパワーが回復するというもの
アイビー・リー・メソッド
- アイビー・リーは20世紀前半に活躍した経営コンサルタント
- 集中したい時に、あれもこれも気になるのは不要なブレーキとなる
- 優先順位が高いものだけをやるのであれば、迷いが消える
具体的なアイビー・リー・メソッドは以下です。
- 紙に「明日やるべきこと」を6つメモする
- その6つを重要と思う順に並び替える
- 翌日その順に作業を進める
- 全部できなくても悔やむことなく忘れる
- 新しく「明日やるべきこと」をメモする
- 1から5を繰り返す
大切なのは1つ終わるまで他の作業はしないこと。
選択と集中が文字通り集中を生み出す。
ただし週の最初の日の最初の作業は、流れに乗るためにもやりやすい作業・終えやすい作業にしておくとなお良い。
この考え方は、私の本業であるソフトウェア開発業界のアジャイル開発とよく似ています。
スケジュールに余白を作る
- いかなる人も予定通りにはならない
- 「終わらなかった」というモヤモヤは集中力を奪う
- であれば週に2日は帳尻合わせに使うくらいで良い
- 何もしない予定をくんでおく
- 終わらなかった作業は取ってあった余白でおこなう
- 週2日に加え、1日の中にも捨てる時間帯=怠けタイムを持たせる
- 人は頑張って達成した後、怠ける心理が働く
- これをモラル・ライセンシングという
- あえて1日の中に怠ける時間を設けることで、後日大きく怠けることを防止する
まとめ
重要なのは、意思決定の機会を減らしてウィルパワーを節約するということのようです。
初心者は集中25分・休憩5分のリズム、慣れてきたら集中90分・休憩20分のリズムを意識して作業するのが基本でしょう。15分に一度立ち上がるのも忘れずに。
理想は6時間以上の睡眠、朝食後30分の勉強ができれば人生を変えられるかもしれませんね!